(ローター研磨)
ブレーキローターは長期間交換しないで使っていると、パッドとの摩擦で表面が荒れてきます。
また、ローター表面のうねりでパッドが均等に当たらず、効きが100%発揮されていないなど、気がつきにくいブレーキの弱点もあります。
たいていローター研磨というと、車をリフトで上げて行うものが多いのですが、これではリフトが揺れたり、ローターが完全に固定されてはいない状態なので、完全にキチンとした面が出るかというと微妙なのです。
しかし、当社の研磨機械はキャリパーまで外し、ローター本体を機械に取り付けて研磨するという方法なので、面がきっちりと出ます。
研磨機に取り付けるときにサビで取付けに不具合が出ないようにペーパーをかける
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研磨機に取り付けるときにサビで取付けに不具合が出ないようにペーパーをかける
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左が研磨前、右が研磨後のローター。ガリガリになったローターもこうすれば再使用できる。
作業手順は、まずローターにバイトを軽く当てて内側から外側まで削り、ロータ表面のうねりがどんな状態なのかを調べます。
そして、刃先の当らないところがあれば、そこまで削り込んでいくという方法です。
(ロータースリット加工)
スリット効果とは、とくにサーキットなど、ブレーキが高温になるところで効果があります。
パッドの材質にもよりますが、表面が高温にさらされての様々なものによって、本来の効きではなくなってくるものです。
それをこのスリットが削り落としてくれます。
加工方法はスリットの数は6本が基本となっている機械で均等に入れるとすると、3本、6本、12本という数になります。
スリットの角度にもいろいろなパターンがありますが、基本的には45度前後がもっとも効率がよいとのことです。
そして削るエッジの部分(パッドに当るところの角の断面)が直角になってしまうとパッドを直接攻撃してしまうので、90度以上の丸い刃先のバイトで仕上げます。
スリットの向きは、一般的には前傾していると食いつき方向といいブレーキの機器がよくなると言われます。
逆に後に傾いていると流し方向といい効きはそれほど変わらないようです。
上部写真の手前の黄色い囲いのあるのがスリット加工機”スリットオン”。
ローターにスリットを入れる刃先は、このように丸い。スリットは外まで突き抜けてしまうと、強度的な問題があるという。
(バランス取り)
実はブレーキローターのバランス取りも大変に重要です。
バランスが狂っていると、ブレーキングのときにジャダー(振動)が出てしまいます。
ローターをバランサーに乗せると、重いところが真下にくるように回転しますので、そこにマーキングして反対側にウエイトをつけます。
マーキングされた重い部分の反対側にウエイトを貼り付けると、バランスが取れる。
写真は、3gのウエイトをつけたところ。
クリップのような形のウエイトを、冷却フィンに内側から挟みこみます。内側から入れているので、高速になっても遠心力で飛んだりしません。